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婦人科

■ 月経不順

 

  月経とは、約1ヶ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血と定義されます。正常月経の範囲は、月経周期日数:25~38日で、変動:6日以内、卵胞期日数: 17.9±6.2日、黄体期日数:12.7±1.6日、出血持続日数:3~7日(平均4.6日)、経血量:20~140ml。初経は10~14歳、閉経は43~54歳を正常範囲としています。

 

  これに当てはまらない場合が月経異常です。25日未満で出血が反復したりすることがあり、これを頻発月経といい、排卵の有無により卵胞期の短縮、黄体期の短縮(黄体機能不全)および無排卵周期症などがあります。初経から間もない時期や閉経直前に見られます。また逆に月経周期が39日以上3ヶ月以内のものを希発月経といい、無排卵周期症や卵胞の成熟が遅れることにより卵胞期が長くなってしまうことが原因です。更に周期や出血の量、期間からみて月経とは異なる出血である場合は機能性子宮出血といいます。
これらをひとまとめにして月経不順と呼んでいます。

 

  月経不順や無月経の原因で多いのは、急激なダイエットやストレスによるホルモンバランスの崩れであり、悩みや不規則な生活によって月経リズムが乱れる人もいます。また、子宮や卵巣、甲状腺などの病気が原因になることもあります。

■ 月経移動 (生理をずらしたい)

 

高校・大学入試、学校の定期試験、スポーツ大会などで最高のパフォーマンスを発揮したい」
「新婚旅行や家族旅行など、大切な記念行事を十分に楽しみたい」
など、どうしても月経を移動させたいという希望は案外多いものです。
そのような時にはホルモン剤を服用することで月経を移動させることが可能です。
月経を早める方法と遅らせる方法とがありますが、月経をずらしたい期間や月経予定日までの日数などを考え方法を選択します。

月経を早めたい

 生理が始まってから5日目までの間にピルを服用し、早めたい日の2~3日前まで飲み続けます。飲み終えてから2~3日で、いつもより少ない量の生理が来ます。
 この方法では、生理を避けたい日にピルを飲む必要がありません。その代わり、早めに飲み始める必要があります。ずらしたい生理の一つ前の生理がきたら5日以内にご来院ください。

月経を遅らせたい

 生理が来そうな日のおよそ5日前からピルを飲み始め、生理を避けたい日まで1日1錠を服用します。
 ピルを飲んでいる間は、生理が来ません。飲み終えてから2~3日で生理が来ます。10日間程度の移動であれば身体への負担もほとんどありません。

■ おりものの異常・陰部のかゆみ

外陰部のかゆみ
  カンジダなどのカビ(真菌)や細菌、トリコモナス(原虫)による感染症が多いです。最近は薬局で陰部のかゆみ止めのクリームを塗って、悪化させるケースが増えています。症状の1つにしか過ぎないかゆみをごまかしているだけで腟内の治療が行われていないため、根本的な感染症の治療ができないまま長引いてしまいます。

おりものが多い場合や悪臭のある場合
  不妊症や子宮外妊娠の原因となる クラミジア(無症状のものも多いです)や細菌の培養検査を実施します。必要に応じ淋菌や梅毒(採血)、エイズ(採血)などの性感染症も検査します。感染の原因により、治療は異なります。 臭いが強いという主訴で最近、来院する女性が多くなっています。 細菌性腟症という状態が多く、検出される菌の種類により、治療が異なりますが、1~2週間で悪臭を消すことができます。

出血
  月経異常のこともありますが、感染症が原因で出血しやすくなることがあります。
子宮がんの検査をすることも多いです。子宮の出口に子宮頸管ポリープという腫瘍ができていることもあります。これは当日に治療できます。

■ 子宮内膜症と月経困難症

 

  月経の始まる1日前ないしは初日に症状が強く、月経が終わると無くなるいろいろな不快症状を、月経困難症と言います。下腹部の痛みや腰痛のほか、足のつけ根の痛みを訴える方もいます。月経痛は、軽いものを含めるとかなりの女性に見られます。しかし、日常生活に支障があったり、寝込むほど痛みの強いものは、月経困難症といい、治療の対象となります。

 

  月経困難症は、何か婦人科の病気が隠れていて、それに伴って起きている場合があります。たとえば、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮やその周囲の炎症や卵巣の腫瘤などが考えられます。そこで、強い月経痛があったら必ず婦人科の診察を受け、病気が隠れていないか確かめる必要があるでしょう。

 

  子宮内膜症では月経困難症が主症状です。1997年厚生研究費補助金研究によると、195施設よりの3047名の子宮内膜症患者の報告を受け、2330名に関して調査したところ、1ヶ月間の受療者数は人口128187人で、30~34歳にピークがありました。症状は月経困難症が88%で、そのうち70%が鎮痛剤を必要としました。鎮痛剤を使用しても日常生活に支障をきたすものは18%におよび、診断に際してもっとも有意な症状は下腹痛であったとの報告がありました。

■ 更年期障害

 

 更年期にでてくる症状で日常生活に影響するようなトラブルを更年期障害と診断します。大きく分けて、以下のように分けられます。

女性ホルモン欠乏による自律神経症状

 顔のほてり、のぼせ、異常な汗をかく、動悸、めまい,肩こりなどがあります。

 治療:不足している女性ホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)や漢方薬を処方します。ほてり(ホットフラッシュ)やのぼせに非常によく効きます。

精神神経症状

 情緒不安、いらいら、抑うつ気分、不安感、不眠、頭が重いなど。

 治療:自律神経症状と合併している場合もありますが、ホルモン補充療法や漢方薬による治療があります。 気分が落ち込むなどのうつ的な部分が強ければ、抗うつ薬や精神安定剤、睡眠剤などを処方します。


その他

 食欲不振、乾燥感、性交障害、かゆみなど。
 治療;症状により薬剤をご相談します。

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